美術と信仰
豊穣の女神が主神となる信仰をはじめ、雄牛の崇拝、双斧や聖なる角は小アジアからレヴァントにつながるのです。
また王が神性をそなえることはオリエントに広くみられ、王が最高の祭であることは小アジアに例があります。
このようにしてクレタはオリエントに近い系統だと認めたいのです。
クレタ美術について心理学上からは、その図像は動的で浮動的であること、輪郭は動揺し部分的に極めて詳細であること・・・
また、色彩は華やかで万華鏡的であり、表現は表面的であって構成的でないことをあげて、これらの性向はオリエント美術と共通の心性の産物であると説かれています。
これは、クレタ美術の解釈として当っていると思われます。
しかし反而ではオリエント、クレタ両美術の性格差も明らかでしょう。
オリエント美術の形式主義や伝統の固執はクレタの自然主義と異なるし、また静と動との対照という問題があります。
この相異はどこからきているでしょうか。
そこでこの和異の原因をクレタ人を取りまく自然とその下で最も適する生活様式に求めたいのです。
エーゲ世界の地理とエーゲ的生活様式についてはいろいろ言われていますが、それらが人間に及ぼす作用を再考したいのです。